中国へ自衛隊機

この内容、昨日書くつもりあったのですが、
以前にも取り上げたことの、その後。
ということで、クラスター爆弾昨日書きました。
でも、この内容、今日にして良かったです。
最初の報道と内容が変わってきていますね。


一昨日(29日)朝日・朝刊1面トップ
以下の見出し出ています。

中国へ自衛隊機 検討
四川大地震救援物資を輸送

この日さらに、
2面時時刻刻 社会面(こっちの記事は地震関係で自衛隊は関係ない記事です)にも関連記事出ていました。

asahi.comです。
http://www.asahi.com/politics/update/0529/TKY200805280365.html?ref=any
一部引用します。

町村長官は会見で、中国側から27日、北京の日本大使館に救援物資の要請があったことを明らかにした。輸送手段については、「自衛隊によるものを含めて要請があった」と述べ、政府として自衛隊派遣を検討していることを認めた。

 高村外相も28日、中国側からの要請について「自衛隊の輸送機でも結構ですよということだと理解している」と記者団に語った。

今回の背景について、の記述です。

中国国内に自衛隊機が入るのは、首相が訪中する際などの政府専用機を除いて例がない。中国側が自衛隊受け入れを容認する背景には、地震による被害が予想以上に大きく外国に頼らざるを得ないとの事情に加え、日中関係の改善や両国間の防衛交流が最近になって活発化していることがあるとみられる。

 5月7日に東京で行われた福田首相胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との日中首脳会談でも、防衛交流の進展を確認し、中国側が海上自衛隊の艦艇の訪中を要請したほか、国連平和維持活動(PKO)や災害救援分野での協力の可能性を検討することで一致している。

自衛隊中国に行くんだ、あんまり行って欲しくないけど、
緊急援助だし、仕方ないよね。
自分にそう納得させました。
緊急援助という建前を利用して、なし崩し的に自衛隊が海外に出て行くこと、
「良くないな〜」って感覚があります。
で2面の時時刻刻見ると、

国際緊急援助隊派遣法に基づく自衛隊の活動実績(防衛庁の資料から)

という派遣した場所を地図上で示したものと、具体的な内容が表になって出ていました。
私の認識不足でした。
国際緊急援助隊派遣法に基づいて自衛隊すでに、9回活動しているようです。
これ見て、
「もう9回も自衛隊国外で活動してるんダー、仕方ないな」
って気持ちになりましたが、
知らないうちにこんなに活動しているなんて、
「なし崩し」って言葉やっぱり頭に浮かびました。


ありました。
今朝日の記事出ないので、他探していたら、
航空自衛隊のホームページで、似たような地図見つけたのでリンクしときます。
朝日の記事と同じではないですが、ご参考にどうぞ。
http://www.mod.go.jp/asdf/mission/mission09.html
http://www.mod.go.jp/asdf/mission/mission09.html

この、時時刻刻の記事、中国側が自衛隊機受け入れることに焦点を当てて書かれています。
記事から一部引用します。(元見つからないので新聞見て手打ちです。asahi.comやっぱり便利)
 

 こうした空気は中国政府や軍まで広がる。中国筋によると救援活動にあたる軍側から指導部に、外国軍による物資輸送の提案があり、自衛隊機が中国の空港に乗り入れることも了承済みという。中国筋は「防衛交流が進んでおり、自衛隊に対するアレルギーは少なくなった」と語る。

冒頭の「こうした空気」とは、日本の援助隊の活動や、胡主席の訪日で、対日イメージが好転している。ということです。
日本側の声も引用します。

 中国の要請に、外務・防衛両省内からは驚きの声があがった。「あれだけ自衛隊アレルギーだった中国も変わったものだ」(防衛省幹部)
 四川大地震発生当初にも、日本国内では自衛隊による緊急援助がとりざたされた。しかし、「中国は国内に有り余っている軍隊と警察を投入するので支援要請はないだろう。大国の誇りもある」(政府高官)と否定的な見方が強かった。

さらに、こんな記述も、

今回、北京の日本大使館に最初に自衛隊機を含む輸送の打診があったのも、中国軍関係者からだった。

中国の姿勢の変化に国内が驚いている。
そんなニュアンスです。
高村さん(外相)の28日のコメントです。

自衛隊機で運んでくれというわけじゃなくて、自衛隊機でも結構ですよということだと理解している」と、慎重な言い方を崩さなかった。

高村さんが冷静な姿勢なのって、良いですね。


昨日書いていれば、ここまですね。


この後が、あったんですよ。
昨日夕刊・1面トップ以下の見出しです。

自衛隊機派遣 見送り
四川大地震 政府、中国難色で

中国から言ってきて、中国難色って感じですね。
一昨日の記事との落差が激しいですね。

asahi.comです。
http://www.asahi.com/politics/update/0530/TKY200805290354.html?ref=any
一部引用します。

 日本政府は29日、中国・四川大地震の被災者支援のための自衛隊機派遣を見送る方針を固めた。中国側が求めているテントなどの救援物資は、民間機をチャーターして輸送する方針だ。中国国内で、自衛隊の受け入れに反発があることを踏まえて見送りを決めた。

 複数の政府関係者が29日夜、「今回は自衛隊機を派遣することはない。民間のチャーター機で運ぶ」と明言。「中国政府内のコンセンサスがとれなかった」「自衛隊機の使用は選択肢の一つだった。そこだけ報道で大きくクローズアップされ、中国側も戸惑ったのではないか」などと説明した。

2面の関連記事に気になる記述!
引用します。
 

 さらに救援物資を運ぶ自衛隊輸送機は民間機よりも輸送量が限られる。外務省幹部は「せっかく派遣しても、なんだこれだけかと言われたら困る」と語った。

すごい一文だと思いません?
「物資を輸送することが目的であるのなら、自衛隊よりも民間機の方が優れている」
そう書いてあるわけです。
キット輸送にかかる費用も、自衛隊に頼んだ方が民間に頼むよりは掛かると思います。
だったら、最初から民間でやれば良いと思います。
中国側が、地震で弱気になっているのを機会にして、
自衛隊機を中国に乗り入れチャエ!って利用した。
否定できない分部ありますね。
過去の
国際緊急援助隊派遣法に基づく自衛隊の活動」
についても、物資の輸送に自衛隊機使っているのは、
自衛隊の海外派遣実績を作るため」
ってことになるのだと考えます。
やっぱり、
『なし崩し』
狙っている気がしますね。
これからは、物資の輸送には、民間機を使って欲しい。
そう思いました。



#後述
今(AM10:20分)
ヤフーニュース見ていたら、毎日新聞配信の記事出ていました。
真相はこうだったんだ、って感じ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080530-00000176-mai-cn
リンク切れ考えられるので、全文引用しておきます。

四川大地震自衛隊機派遣見送り 「成果」焦った?日本
5月30日23時37分配信 毎日新聞


 政府が中国・四川大地震の被災地への自衛隊機派遣を見送った背景には、中国側の「要請」をめぐるボタンの掛け違いがあった。その中で、政府内には歴史的な外交成果を狙う焦りも存在し、それが「自衛隊派遣」の独り歩きを招いた側面もありそうだ。

 「昨日、北京の日本大使館に中国政府から要請がありました」

 中国からテントや毛布などの物資の輸送のための自衛隊派遣を要請されたと発表したのは28日午後の町村信孝官房長官の会見。町村氏は「輸送手段について自衛隊によるものを含めて要請があった」と説明した。

 ところが、ある政府関係者は「要請したのは中国軍の少佐」と明かす。少佐は防衛省だと3佐に相当し、陸海空幕僚監部の課長にも満たないレベル。初の自衛隊派遣という歴史的な局面で、課長にも満たない軍人が要請してきたことになる。

 「少佐と聞いた時、この話は大丈夫なのかと感じた」と政府関係者。首相周辺も「中国政府が意思決定したものでも、権威あるものでもなかった。その意味では最初から自衛隊派遣の要請はなかったとも言える」と語る。

 つまり、単なる打診だった可能性があるのだが、中国軍の一部による一つのアイデアは日本政府に伝わる過程で要請に姿を変えていったようだ。

 そのころ、米軍はC17輸送機でハワイから支援物資を四川省成都まで空輸し、中国軍関係者の出迎えを受けていた。「米軍も受け入れているわけで、過去の経緯からあまり自衛隊を特別扱いしすぎる必要はない」(外務省幹部)との楽観論が広がり、大々的に報道されたこともあって政府はどんどん前のめりになっていった。

 政府関係者は「中国から求められた」と口をそろえたが、実際には日本側が持ち出していた。12日の地震発生の直後、政府は(1)資金援助(2)物資援助(3)緊急援助隊の派遣(4)医療チームの派遣−−の4提案とともに「自衛隊の派遣を要請してはどうか」と提案した。

 検討されたC130輸送機での支援内容は、数千万人規模という被害に比べ、テントや毛布の量がかなり限定的。外務、防衛両省には「実現すれば日中関係にとって画期的で、関係改善の象徴的出来事になる」と色めく幹部がいた。自衛隊派遣案がもともと人道支援ではなく、政治的意味合いから出発していたわけで、政府関係者からは「最終的に見送られたのは必然」との声も聞かれる。【古本陽荘】