「靖国 YASUKUNI」朝・読・毎・産、社説比較

本題ではないですが、
昨年予想していたこと当りました。
それほど難しい予想ではないのですが、
2007-12-07 第三の勢力 - なんやかんや
に書いたことです。
昨日朝日・朝刊社会面(手元の新聞で30面)中央下。

橋本前知事、衆院出馬へ 高知1区

橋本さん高知県の選挙区から衆院に無所属で出馬、県知事を辞めた時点で表明していましたが、
何処の選挙区か表明していませんでした。
選挙区3しかないので、1/3の確立で当るのですが、とにかく当りました。
予測の根拠コメントのところに書いていたもの引用します。

この選挙区高知市の一部だけが選挙区です。選挙区が小さくて都市型選挙になること、現職が有力候補ではなさそうなこと。それで高知一区予想しました。橋本さんまだ出馬する選挙区表明していません。


何時になるかわからない衆院選挙に向けて、橋本さんは動き出したようです。
小選挙区制で、自民・民主以外で当選しそうな有力候補そんなにはいないので、
小選挙区制をあまり良く思っていない私としては、自民・民主を蹴散らして当選して欲しいものです。


今日はもう1つ、
一昨日書いた
2008-04-01 『靖国 YASUKUNI』
の件です。

昨日の朝日天声人語に取り上げられていました。
引用しておきます。

米国で封切られたチャプリンの「殺人狂時代」(47年)は散々だった。宗教界や在郷軍人会が「倫理に反する」「共産党シンパだ」と映画館に圧力をかけたためだ。ほどなく赤狩りの嵐に覆われるこの国は、彼を「追放」する▼20年後、チャプリンは再び米国の地を踏んだ。アカデミー特別名誉賞の授賞式である。それは希代の映画人と、表現の自由を守れなかったハリウッドの謝罪にほかならない▼中国人監督のドキュメンタリー映画靖国」を上映するはずだった五つの映画館が、中止を決めた。不測の事態を警戒しての結論だという。終戦記念日の参拝風景などを撮った作品は素材提供に近いが、国会議員向けの試写会が開かれ、政治色を帯びた▼右翼の抗議を怖がり、日教組の集会を拒んだホテルと同様、あるいはそれ以上に、メディアの一翼を担う映画館の萎縮(いしゅく)は深刻だ。あらゆる表現や言論、批判が出会うべき場が、近所迷惑になるからと自ら幕を下ろしては議論さえ始まらない▼面倒はいやだと縮こまる。ネットで匿名の中傷を浴びせる。そんな風潮を含めて、時代の空気は少しずつ危うくなっている。一人、また一人と嫌がらせに譲れば、筋を通す者に街宣車が群がるだろう。勇気ある者をどう支えるか。メディアの端くれとして、ここは踏ん張りどころと肝に銘じたい▼靖国の桜はきのうも満開だった。北風に花びらが舞うが、多くは揺れる枝にしがみついている。花見の名所の木々らしく、週末までは散るまいという意地なのか。風に負けてはならない時がある。


さらに昨日の朝日社説で再度この問題取り上げていました。
http://www.asahi.com/paper/editorial20080402.html#syasetu1
引用します。

靖国」上映中止―表現の自由が危うい
 これは言論や表現の自由にとって極めて深刻な事態である。

 中国人監督によるドキュメンタリー映画靖国 YASUKUNI」の今月公開を予定していた東京と大阪の五つの映画館が、すべて上映中止を決めた。来月以降の上映を準備しているところも数カ所あるが、今回の動きが足を引っ張ることにもなりかねない。

 右翼団体街宣車による抗議や嫌がらせの電話など具体的な圧力を受けたことを明らかにしている映画館は一つしかない。残りは「お客様に万が一のことがあってはいけない」などというのが上映をやめた理由だ。

 トラブルに巻き込まれたくないという気持ちはわからないわけではない。しかし、様々な意見がある映画だからこそ、上映してもらいたかった。

 すぐに思い起こすのは、右翼団体からの妨害を恐れて、日教組の集会への会場貸し出しをキャンセルしたプリンスホテルである。

 客や周辺への迷惑を理由に、映画の上映や集会の開催を断るようになれば、言論や表現の自由は狭まり、縮む。結果として、理不尽な妨害や嫌がらせに屈してしまうことになる。

 自由にものが言えない。自由な表現活動ができない。それがどれほど息苦しく不健全な社会かは、ほんの60年余り前まで嫌と言うほど経験している。

 言論や表現の自由は、民主主義社会を支える基盤である。国民だれもが多様な意見や主張を自由に知ることができ、議論できることで、よりよい社会にするための力が生まれる。

 しかし、そうした自由は黙っていても手にできるほど甘くはない。いつの時代にも暴力で自由を侵そうとする勢力がいる。そんな圧迫は一つ一つはねのけていかなければならない。

 言論や表現の自由を守るうえで、警察の役割も大きい。嫌がらせなどは厳しく取り締まるべきだ。

 五つの映画館が上映中止に追い込まれた背景には、国会議員らの動きがある。自民党稲田朋美衆院議員らが公的な助成金が出ていることに疑問を呈したのをきっかけに、国会議員向けの異例の試写会が開かれた。

 稲田氏は「私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」との談話を出した。それが本気ならば、上映を広く呼びかけて支えるなど具体的な行動を起こしたらどうか。

 政府や各政党も国会の議論などを通じて、今回の事態にきちんと向き合ってほしい。私たちの社会の根幹にかかわる問題である。

 いま上映を準備している映画館はぜひ踏ん張ってもらいたい。新たに名乗りを上げる映画館にも期待したい。それを社会全体で支えていきたい。

よそその新聞も調べてみました。
読売も社説で取り上げていました。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080401-OYT1T00816.htm

靖国」上映中止 「表現の自由」を守らねば(4月2日付・読売社説)
 憲法が保障する「表現の自由」及び「言論の自由」は、民主主義社会の根幹をなすものだ。どのような政治的なメッセージが含まれているにせよ、左右を問わず最大限に尊重されなければならない。

 靖国神社をテーマにした日中合作のドキュメンタリー映画靖国 YASUKUNI」が、東京と大阪の五つの映画館で、上映中止となった。

 12日から上映を予定していた東京都内のある映画館では、街宣車による抗議行動を受けたり、上映中止を求める電話が相次いだりした。「近隣の劇場や商業施設に迷惑が及ぶ可能性が生じた」ことなどが中止の理由という。

 直接抗議を受けたわけではないが、混乱を避けるために中止を決めた映画館もある。

 映画「靖国」は、長年日本で生活する中国人の李纓(りいん)監督が、10年間にわたって靖国神社の姿を様々な角度から描いた作品だ。先月の香港国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞するなど海外でも注目を集めている。

 軍服姿で参拝する老人や、合祀(ごうし)取り下げを訴える台湾人の遺族、境内で開かれた戦後60周年の記念式典に青年が乱入する場面などが取り上げられている。

 靖国神社のご神体が、神剣と神鏡であることから、日本人の心の拠(よ)り所として日本刀にも焦点を当てている。

 日本兵が日本刀で中国人を斬首(ざんしゅ)しようとしている写真なども映し出される。日本の研究者が中国側が宣伝用に準備した「ニセ写真」と指摘しているものだ。

 その映画に、公的な助成金が出ていることについて、自民党稲田朋美衆院議員ら一部の国会議員が疑問を提示している。

 しかし、公的助成が妥当か否かの問題と、映画の上映とは、全く別問題である。

 稲田議員も、「私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」としている。

 かつて、ジャーナリストの櫻井よしこさんの講演が、「慰安婦」についての発言を問題視する団体の要求で中止になった。

 こうした言論や表現の自由への封殺を繰り返してはならない。

 来月以降には、北海道から沖縄まで全国13の映画館で、この映画の上映が予定されている。

 映画館側は、不測の事態が起きぬように、警察とも緊密に連絡をとって対処してもらいたい。

(2008年4月2日01時30分 読売新聞)


毎日新聞社説です。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20080402ddm005070035000c.html

社説:「靖国」中止 断じて看過してはならない
 中国人監督によるドキュメンタリー映画靖国 YASUKUNI」の上映が全面的に中止になった。予定していた計5館が嫌がらせや妨害が起きることを懸念し、取りやめたためだ。

 黙過できない。言論、表現の自由が揺らぐ。そういう事態と受け止めなければならない。

 今年初め、日本教職員組合の教研集会の全体会場、宿所だった東京のグランドプリンスホテル新高輪が、一転して使用を断った。右翼の街宣や威圧行動で顧客や周辺の住民、受験生らに迷惑がかかるというのが理由だった。裁判所は使用をさせるよう命じたが、ホテル側はこの司法決定にも従わないという空前の異常事態になった。

 私たちはこれについて「今後前例として重くのしかかるおそれがある」と指摘した。「靖国」中止で「おそれ」は現実になったといわざるをえない。

 作品は、10年間にわたり終戦記念日靖国神社の光景などを記録したもので、一部のメディアなどが「反日的だ」とし、文化庁所管である芸術文化振興の助成金を受けていることを批判した。自民党の国会議員からも助成を疑問視する声が上がり、3月には全国会議員を対象にした試写会が開かれた経緯がある。

 萎縮(いしゅく)の連鎖を断ち切るには、再度上映を決めるか、別会場ででも公開の場を確保する必要がある。安全を名目にした「回避」は日教組を拒絶したホテルの場合と同様に、わが意に沿わぬ言論や表現を封殺しようとしている勢力、団体をつけ上がらせるだけであり、各地にドミノ式に同じ事例が続発することになろう。

 一方、警察当局にも言いたい。会場側が不安を抱く背景に、こうした問題で果たして警察が守りきってくれるのかという不信感があるのも事実だ。発表や集会を威圧と嫌がらせで妨害しようとする者たちに対して、きちんとした取り締まりをしてきたか。その疑念をぬぐうことも不可欠だ。

 また、全国会議員が対象という異例な試写会は、どういう思慮で行われたのだろう。映画の内容をどう評価し、どう批判するのも自由だ。しかし、国会議員が公にそろって見るなど、それ自体が無形の圧力になることは容易に想像がつくはずだ。それが狙いだったのかと勘繰りたくもなるが、権力を持つ公的機関の人々はその言動が、意図するとしないとにかかわらず、圧力となることを肝に銘じ、慎重さを忘れてはならない。

 逆に、今回のように「後難」を恐れて発表の場を封じてしまうような場合、言論の府の議員たちこそが信条や立場を超えて横やりを排撃し、むしろ上映促進を図って当然ではないか。

 事態を放置し、沈黙したまま過ごしてはならない。将来「あの時以来」と悔悟の言葉で想起される春になってはならない。

毎日新聞 2008年4月2日 東京朝刊


最後に産経、
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080402/tnr0804020305000-n1.htm

【主張】「靖国」上映中止 論議あるからこそ見たい
2008.4.2 03:04

このニュースのトピックス:主張
 靖国神社を題材にした中国人監督のドキュメンタリー映画靖国 YASUKUNI」が東京と大阪の映画館で上映中止になった。抗議電話などがあり、客やテナントに迷惑をかけられないという。残念だ。

 この映画は、靖国神社の参拝風景や神社に納める「靖国刀」をつくる刀匠の姿などを記録した作品である。文化庁が750万円の助成金を出していたため、自民党議連「伝統と創造の会」(会長・稲田朋美衆院議員)の要請で試写会が開かれた経緯がある。

 そこで、助成に必要な政治的中立性などをめぐって疑問点が指摘され、今月の封切り前から話題を呼んでいた。映画を見て、評価する人もいれば、批判する人もいるだろう。上映中止により、その機会が失われたことになる。

 実際に、公的機関などから上映中止の圧力がかかったり、目に見える形での妨害行為があったわけではない。映画館側にも事情があろうが、抗議電話くらいで上映を中止するというのは、あまりにも情けないではないか。

 上映中止をめぐり、配給・宣伝協力会社は「日本社会における言論の自由表現の自由への危機を感じる」とのコメントを発表し、映画演劇労働組合連合会も「表現の自由が踏みにじられた」などとする抗議声明を出した。憲法の理念をあえて持ち出すほどの問題だろうか。

 映画界には、自民党の議連が試写会を要求したことを問題視する声もある。日本映画監督協会崔洋一理事長)は「(議連の試写会要求は)上映活動を萎縮(いしゅく)させるとともに、表現者たる映画監督の自由な創作活動を精神的に圧迫している」との声明を発表した。

 しかし、「伝統と創造の会」が試写会を要求したのは、あくまで助成金の適否を検討するためで、税金の使い道を監視しなければならない国会議員として当然の行為である。同協会の批判は的外れといえる。

 試写会に参加した議連関係者によると、この映画の最後の部分で“旧日本軍の蛮行”として中国側が反日宣伝に使っている信憑(しんぴょう)性に乏しい写真などが使われ、政治的中立性が疑われるという。

 不確かな写真を使った記録映画に、国民の税金が使われているとすれば問題である。文化庁には、助成金支出の適否について再検証を求めたい。

日経は、探しましたが、社説での記述は無いようです。
ネット時代ホント便利、
どうこう書きませんが、各社の視点の違い出てますね。
みんな同じこと書いていたら、言論統制されていそうですが、新聞見ていると感じませんね。
良いことです。


そして、昨日の朝日夕刊、手元の新聞で8面に、
映画「靖国 YASUKUNI」の全面広告出ていました。
12日からの上映に際して広告枠取ってあってそのまま掲載したのでしょうね。
監督の李さんと田原さんの対談と識者の方のコメントが出た広告になっています。
上映館の表示も、上映日時の告知も無い広告になっています。

近日ロードショー予定!

とだけ表示されていました。