凶悪事件は減っている。

昨日平塚で死者は出なかったものの、また無差別に刃物で切りつける事件がありましたね。
凶悪事件は減っている???
「ウッソー」そんな声聞こえてきそうな今日のタイトルですが、ホントのようなのです。


昨日朝日夕刊(手元の新聞で9面)
池上彰の新聞ななめ読み
にこのこと書かれています。
asahi.comには出ていないので、久々に手打ちで全文引用します。
 

新聞紙面の下の方には1段でわずか十数行の記事がよく掲載されています。これは「べた記事」と呼ばれます。大きなニュースではないと担当者が判断した記事です。ところが、ここに、なかなか興味深い記事が登場することがあります。
 7月11日本紙朝刊に、「殺人事件1割増える」という見出しの記事が出ています。やはり治安が悪化しているのだと思わせますね。本文を読むとこう書いてあります。 
 「08年1〜6月に全国で起きた殺人事件(未遂含む)は649件と、年間ベースで戦後最少だった07年の同期より約10%増えたことが10日警視庁のまとめで明らかになった」
 あれっ。「年間ベースで戦後最少だった07年」という表現がありますよ。去年は殺人事件(未遂含む)が戦後最低の件数だったというのです。ご存知でしたか。
 「昔と比べて日本は治安が悪化した」と思っている人が多いと思いますが、少なくとも殺人と殺人未遂事件の合計は、去年が戦後最低だったというのです。
 では、それ以外の事件はどうなのでしょうか。これも記事に出ています。
 「刑法犯全体の認知件数は約87万9千件で、前年同期より約4万6千件減った」
 認知件数というのは、警察が把握した件数です。刑法犯つまり犯罪件数が去年の前半より大幅に減少しているというのです。
 警察庁のホームページで、データを確認しました。今年5月、警察庁は、去年の犯罪情勢を発表しています。これを読むと、刑法犯は03年から去年まで5年連続して減少しています。
 殺人、強盗、放火、強姦といった凶悪犯に強制わいせつなどを加えた重要犯罪は、04年から減少に転じ、去年まで一貫して減り続けているではありませんか。
 数字で見ると、凶悪事件は減り続けているのです。それなのにどうして私たちは「治安は悪化している」という印象を抱くのでしょうか。連日テレビは凶悪事件を報じているというのに……。
 そうです、凶悪事件は減っていても、「凶悪事件報道」は増えているのですね。私がかつてNHKの警視庁担当記者だったころ、殺人事件は、めったに全国ニュースになりませんでした。当時は民放のニュース時間も少なく、殺人事件は小さな扱いでした。それがいまや連日の大報道。「殺人事件が激増している」という印象を与えるようになっているというわけです。

ほんと、凶悪犯罪増えていると私も思っていました。
考えようによったら、件数は減っていても、1件当たりに死傷者数は増えているかもしれませんね。
そのへんの事実は不明です。
でも、凶悪犯罪の件数減っているのに、死刑判決は増えていますよね。
ということは、凶悪事件の報道によって、多くの人が事件を知ることとなり、
「そんなやつは死刑だ!」
の世論が形成されていって、死刑判決が増えている。
こういう仮説成り立たないでしょうか?
しかし、凶悪事件が減っているこの事実、
多くの人に知らせる必要ありますね。
TV報道が、凶悪事件が増えていると思わせ、
無差別に人を刃物で刺すことをはやらせている。
そういう仮説も成り立つかもしれません。
でも無差別に人を刺すことが増えているからといって、
自分もやってみたいと思って、実行に移してしまう、
その衝動を抑えることができないってことは問題ですね。
たとえそういう報道がされていたとしても、
それに影響されない理性と人格を身につけられない。
どうしたら良いのでしょうね。
孤独な人が増えているのかもしれませんね。