裏付け

2009-03-19 取材の受け方 - なんやかんや
で書いた事の続きです。
バンキシャ!」問題です。
昨日朝日・朝刊社会面(手元の新聞で37面)メディアタイムズ
24日に前社長が記者会見をして、社内検証の途中結果を発表した事、書かれていました。
asahi.comで似た内容あったので引用します。
http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200903240460.html


山口県の裏金報道も裏付け不十分 バンキシャ!検証2009年3月25日0時9分

 日本テレビの報道番組「真相報道バンキシャ!」が虚偽の証言をもとに岐阜県に裏金があると報じた問題で、前社長の久保伸太郎相談役らが24日に記者会見を開き、社内検証の途中結果を発表した。不十分な裏付け取材などの問題点のほか、「山口県の裏金報道」も裏付けや確認が十分でなかったことを明らかにし、「謝礼」を前提とした情報募集の是非も浮かび上がってきた。

 岐阜県の裏金問題が放送された昨年11月23日の「真相報道バンキシャ!」では、山口県でも過去に事務用品の納入業者が裏金づくりにかかわり「県職員に(裏金で購入した)テレビを届けた」という業者の証言を報じた。

 日本テレビによれば、山口県の裏金の情報提供者も、岐阜県の問題で虚偽証言をした蒲(がま)保広容疑者(58)=偽計業務妨害容疑で逮捕=と同じインターネットの取材協力者・出演者募集サイトに応募してきた。ディレクターが、実際にテレビを届けたと証言する情報提供者に会って裏金づくりの手口を聞いたが、県職員の名前などは確認せず裏付け取材をしないまま放送し、情報提供者にはインタビュー料として1万円を支払っていた。

 岐阜県の問題が発覚したため、テレビを届けられたとする元県職員に話を聞くと、テレビの件は否定した。ただ、過去に県庁内で裏金づくりがあったことに関しては認めたという。

 そのため同局は、山口県の裏金報道も「岐阜県と全く同様に、証言内容について十分な裏付け取材を行わずに報道した」と報告した。ただし証言が真実だったかどうかについては「確認できなかった」とした上で、「裏金は正しかったと考える」(戸恒直コンプライアンス推進室長)とした。

 また同じ検証報告の中で同局は、蒲容疑者が、4年前にも「バンキシャ!」に出演していたことを認めた。蒲容疑者は05年放送の同番組で、ネットでバイアグラを購入した体験を語り、出演料1万円と交通費を受け取っていた。同テレビは「同一人物の応募への危機感がなく、確認作業を行わなかった」と説明。久保前社長は「2度目の出演と分かっていれば、人物の確認作業をしたと思う」と話した。


私、この記事の前に月曜(23日)夕刊(手元の新聞で9面)「池上彰の新聞ななめ読み」興味深く読みました。
要約と引用します。
この件、17日の朝日・毎日は1面トップ、読売は1面で、目立たない扱いだったそうです。
ヤッパリね。
って感じません?
読売と日テレ資本関係バッチリで、日テレの社長も、実力者の氏家さんも、読売新聞あがりです。

 朝日新聞の取材に対して日本テレビ総合広報部は「元役員から提出を受けた証拠書類が巧妙に改ざんされ、見抜くことができなかった」と説明しています。

池上さんもここだけ読むと、裏づけ取材難しくて日テレも被害者って思えるね。って書いています。
 

ところが、読売新聞の記者はそう考えなかったようです。3月10日朝刊で、日本テレビの取材過程を検証する記事を掲載しました。それによると、証言した男性は、岐阜県発注の工事代金を水増しして裏金づくりに協力したと言っているのに、男性の会社は県発注の工事をほとんど受注しておらず、「受注実績を調べるだけで、証言の不自然さに気づくはずだった」。

これだけでも、裏付け充分ですが。
さらにもう一つ書かれています。
 

男性は裏金を入金したという銀行の出入記録を番組スタッフに示していたが、「この記録はこの銀行の書式とは異なっていた」。「日本テレビは『銀行に確認した』としているが、銀行の広報担当者は『取材を受けていない』と否定。『問い合わせてもらえば、違うと教えることができたのに』と話す」

新聞読み比べると凄いですね。
日本テレビ総合広報部は朝日の取材に自分の会社の都合の言いように事実を構成(捏造ですね)して話しています。
朝日の記者さん、締め切りもあったのでしょうし、同じ報道機関として日本テレビを信じて裏付けしないでそのまま記事にしたわけです。
よく解釈すると、こういった場合朝日の常識として「朝日の広報部ではきちんと説明する」って思いがあったのかもしれませんね。
でも、読売の記者さんは、少ない時間で裏付けとって、「バンキシャ!」が裏付けきちんととらずに報道した事。その後日本テレビもきちんとした対応に動いてない事を暴いてしまいました。
「読売社会部」の伝統健在!ですね。
悪く解釈すると、同じグループなので「広報部がそこまできちんと調査していない」事見抜けたのかもしれません。


裏付けの大切さ各社ともわかっていたことでしょう。
締め切りがあって、早く報道するためには裏付け限度があります。
遅れると、他社が先に報道して、自社が報道できない、記者さんが嫌う
「取材落ち」
になってしまいますね。
でも、
「スクープ」
を狙う以上裏付けは大切!
でも、スクープじゃなくても、普通の取材でも裏付けとる姿勢大切ですね。
バンキシャ!」問題は、各社の裏付けの甘さ露呈させましたね。
この流れが24日の日本テレビ前社長の記者会見に結びついているのでしょう。
そうじゃなくても、記者会見する必要ありますけどね。


記者会見で相手の話をそのまま報道していたのでは、やっているほうも張り合いがないですね。
各社の記者の皆さんこれにめげることなく、
裏付けに基づいたしっかりとした「スクープ」をお願いします。