星の王子さま〜世界に1つだけの花

私は「星の王子さま」全部で3冊持ってます。
初めて読んだのは
当然昔からある岩波版です。

星の王子さま (岩波少年文庫 (001))

星の王子さま (岩波少年文庫 (001))

続いて2000年に発売になった、
星の王子さま―オリジナル版

星の王子さま―オリジナル版

本の帯に印刷された文字引用します。

1943年にアメリカで出版された初版本と、戦後フランスで刊行されたガリマール社版とを比べると、挿絵の色調やタッチが微妙に異なっていました。サン=テグジュペリ生誕100年を記念して、作者が生前目にした唯一の版である*1米国版に基づいたオリジナル版をお届けします。

この二冊は翻訳は内藤濯(あろう)さん訳ですね。
そしてその後、版権が切れて各社から色々な方の翻訳でましたね。
そのときは購入しませんでしたが、
先日書いたように三田誠広さん訳が出たと言う事で購入しました。
出版は各社より少し遅れましたが、昨年11月です。

星の王子さま (講談社青い鳥文庫)

星の王子さま (講談社青い鳥文庫)

内藤訳と三田訳、一部だけ引用します。21章の終わり近くです。
まず内藤さん、

「あんたたちは美しいけど、ただ咲いてるだけなんだね。あんたたちのためには、死ぬ気になんかなれないよ。そりゃ、ぼくのバラの花も、なんでもなく、そばを通ってゆく人が見たら、あんたたちとおんなじ花だと思うかもしれない。だけど、あの一輪の花が、ぼくには、あんたたちみんなよりも、たいせつなんだ。だって、ぼくが水をかけた花なんだからね。覆いガラスもかけてやったんだからね。ついたてで、風にあたらないようにしてやったんだからね。ケムシを ― 二つ、三つはチョウになるように殺さずにおいたけど ― 殺してやった花なんだからね。不平もきいてやったし、じまん話もきいてやったし、だまっているならいるで、時には、どうしたのだろうと、きき耳をたててやった花なんだからね。ぼくのものになった花なんだからね」

三田さん

「きみたちはきれいだよ。でも、それだけだ。だれもきみたちのために、命をかけようとはしない。ぼくのふるさとの花だって、よその人から見れば、ただの花だ、だけど、ぼくにとっては、世界中の花という花のすべてよりも、あの花のほうがたいせつなんだ。なぜって、ぼくが水をやったのは、あの花だけだからね。ガラスのカバーをかけてやったのも、あの花だけだ。風よけを立ててやり、毛虫を退治してやった。もっともチョウチョウもいたほうがいいから、少しは残したけどね。わがままを言うのも聞いてやったし、むだなおしゃべりも聞いてやった。たまにだまりこんでいると、心配になって耳をすましたりもした。あの花はぼくにとって、世界でただひとつの花だったんだ。」

槙原さんかSUMAPの歌が聞こえてきませんか?
私、この歌聴いたとき「星の王子さま」頭に浮かびませんでした。
三田さんの訳、他の部分でもこの歌の「一つだけの花」感じる部分ありました。
私の読解力不足か、歌が出るだいぶ前に読んだので、記憶が薄れていたのか、内藤さん訳では思いつきませんでした。*2

ご本人独自のセンスで詩を書かれたのかもしれませんが、
槙原敬之さん「世界に一つだけの花」作詞の時にこの本のイメージあったのでしょうか?
サンテグジュペリさんのメッセージをしっかりと受け止めて別の形で表現されたのでしょうかね?
詩のニュアンス多少違いますね、
私にとっての「ひとつの花」
では無くて、
それぞれが、「ひとつの花」
ですね。
そして三田さんもそのことに気付いていて、こういう訳にしたのでしょうか?


「世界に1つだけの花」詩とメロディー、ココ↓で見聞きできます。
http://www.hi-ho.ne.jp/momose/mu_title/i_sekaini_hitotsudakeno_hana.htm

*1:サン=テグジュペリさん戦争中に偵察に出かけてそのまま帰って来ませんでした。ですから戦後に出た本はご本人見てないわけです。

*2:内藤訳の方が三田訳より私には「ピン」と来た部分もありました。どちらにしても原作の力がすごいですね