歌うクジラ

今日のタイトル、村上龍さんの新作です。
講談社の「群像」に連載していた作品です。
だいぶ前に、連載終わっていたのですが、
書籍化されないな?
って思っていたら、
時代の風を誰よりもよく理解して、行動する作家。


直前こう書いていますが、

時代の風を誰よりもよく理解して、行動する作家。

「村上さん、時代とか流行に乗って」
そんな印象は、全くない。
興味がないと、知っていても見過ごす。
でも、ここぞ!
という時に、走る!
そんなかっこ良さがあります。
13歳のハローワーク」シリーズなんかもそう。

13歳のハローワーク

13歳のハローワーク

新 13歳のハローワーク

新 13歳のハローワーク

13歳の進路

13歳の進路

すごいと思う。
「ぼうっと、高学歴身につけても食って行ける時代じゃないよ。何が、したいのか見つけて、必要な知識と技術を身につけて、ご飯を食べれる大人になりなさい。」
そんな、風をよんだメッセージだと私は理解しました。


さて「歌うクジラ」、
そう、まず電子ブックで出すようです。
http://mainichi.jp/select/biz/it/news/20100716mog00m300022000c.html
http://mainichi.jp/select/biz/it/news/20100716mog00m300022000c.html
全文引用します。

村上龍さんの「歌うクジラ」を配信 出版社通さず


作家の村上龍さんの長編小説「歌うクジラ」が16日、アップルの新端末「iPad」(アイパッド)向けの電子書籍として公開された。出版社を通さずに、コンテンツ企画制作のグリオ(東京都世田谷区)がソフトを制作した。
楽家坂本龍一さんが作曲したBGM付きで価格は1500円。

 電子版「歌うクジラ」は横書きで632ページ。表紙と最終ページ、一部のページでBGMがつく。ソフトにはページを飛ばして読む機能があるほか、気になるページをブックマークすると一覧表示される。船山浩平グリオ社長によると、電子版は、表紙や各章の扉ページのデザイン、BGMの挿入場所など、全面的に村上さんのアイデアで制作された。村上さんは、今回の制作に携わって「電子版に向いているのは絵本だ」と実感し、絵本制作に意欲を燃やしているという。

 また、価格について船山社長は「議論したが、作品の文字量と音楽が付くことを考えると、見合った価格だと思う。安価にして対象を広げるより、本当に読みたいと思う人に読んでほしい」と説明した。当面は5000ダウンロードを目指す。

 「歌うクジラ」は、2006年3月から2010年3月まで、講談社の月刊文芸誌「群像」に連載された。紙の書籍は近く講談社から出版される予定。講談社は、京極夏彦さんの小説「死ねばいいのに」を既に配信しているが、今回は「村上さんから相談を受けて対応してきた。電子書籍はまだ実験段階で、いろいろと試行する」と話している。【岡礼子】

講談社は、村上さんにとって、
限りなく透明に近いブルー」で「群像」新人賞で世に出るきっかけになった会社です。
このまま「芥川賞」まで一気でした。
講談社、理解がありますね。
それとも、遺憾ながら、ということもあるのでしょうか?

村上さん、
文書だけで売らないアイデアもすごい。
お友達の、坂本さんに音楽をつけてもらうなんて、さすが。
今後、電子ブック、音楽以外にも写真・動画・イラスト付。
なんて考えられます。
文章だけだと、紙の本と同じですが、ここまでやると、
電子ブックならでは。
そんな感じ出ますね。
写真集だと、印刷した時に、元の映像と印刷時の微妙な色彩の調整ありそうです。
電子ブック、そういった発色の心配が不要ですね。
2010年、「iPad」による、書籍電子化元年として記録に残る年になるのかもしれません。
村上さん「文学界」に「心はあなたのもとに」という連載も同時にしていました。
コッチはどのような形で世に出すつもりでいるのでしょう。
文学界は「文藝春秋社」から出ています。
村上さん、文藝春秋社からの作品出版数少ないです。
村上龍 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E9%BE%8D


#後述
今、7月18日です。
龍さんのメルマガに講談社とのやり取り出ていました。
その部分だけ引用します。

紙書籍の版元である講談社の理解を得ることも非常に重要だった。講談社は、わたしをデビューさせてくれた出版社であり、友人も多い。紙書籍に先行して電子書籍を販売することには抵抗も大きいと思ったのだが、「そういう新しい試みを講談社は支持します」という理解ある反応が返ってきた。アプリ製作は、JMMの運営・配信などでタッグを組んできたグリオに依頼したが、そのあとも、講談社は終始好意的で、情報を交換したり、助言を受けたりした。

講談社素晴らしい。
大人の対応ですね。