三田誠広さんの未完の長編「帰郷」読みました。
今回「偉大な罪人の生涯 続カラマーゾフの兄弟」読んだことで、以前から気になっていた「帰郷」発表されている部分全て読みました。
この作品読む方法は掲載された「文藝」の1979年1.2月合併号~1980年8月号までの計19冊読む必要があります。
地元の図書館や近隣の図書館には、ここまで古いバックナンバーはないので、昨日と今日、蔵書のある横浜市の中央図書館に通いました。
初回は写真にもあるように300枚掲載ということでこの調子で19冊は大変だと思っていたのですが、三田さんも書くのに苦労したようで2冊目(120枚)・3冊目(100枚)と減っていき掲載分で10P程度の号もあり思ったより早く読み終わりました。
この作品、学生運動が下火になって行った頃の、中核派と革マル派の内ゲバに係った方々とその周囲の人間を書いていて、私には何とかこのまま完結まで書いてほしかった。と非常に残念に思える内容でした。
時代を考えると、この連載の当時はまだ学生運動を主体に書いた作品が書かれていた時代です。*1
芥川賞受賞が1977年なので受賞後まもなくこのような大作に挑んでいたのですね。
デビューから三田さんに付き添っていた河出書房新社にとっても残念だったのではないでしょうか。
三田さん、1948年6月18日生まれで今73歳。
今からでも完結まで書いてほしいと思いますが、未完になった1980年から40年もたっています。この作品今の時代に出版されて学生運動なんかまったく知らない世代にどう読まれるのか、無視されるのか気になりますし、その時代の空気を感じている方たちももう老人。その方たちがどう読むのかも気になります。
三田さん「帰郷」の連載中断した翌月号以降もしばらく「文藝」に毎月短編書かれていました。今度はそっちも読んでみます。
追記
続きの「文藝」1980年9月号手元のあるのですが
掲載されている三田さんの「まどろみの午後」という作品最後の所に
〔「帰郷」第2部第一章・了〕
と書かれていました。
それと上で「毎月短編書かれていました」と書きましたが、手元に9~1981年1月まで5冊あるのですが、うち2冊は連載なく。毎月は誤りでした。