第43回文藝賞

今年の文藝賞受賞作の2作品読みました。
荻世いをらさんの「公園」(120枚)

公園

公園

この作品短編小説を連作風にして一つの作品にしたような所があります。
話の繋ぎ方が、
「こんなのあり」
って感じで実行されていきます。

ここで少し時間を戻そう。
少し時間が戻る。4時間前だ。

これが一番初めの繋ぎ方です。
所がその後も

ここで時間を送ろう。
時間が進む。かなり進む。七年後だ。

だから主人公の「ぼく」がニューヨークに行く時も、

少し時間を送ろう。
少しだけ時間が進む。3日後だ。
で、ぼくはニューヨークにいる。オノサと。

展開されるストーリーもまずまずなのだが、
私はこの話の繋ぎ方に感心してしまいました。
荻世さんまだ23歳で学生さんです。
2006年度の「ぴあフィルムフェスティバル」でも入選をしているそうです。
この作品中にも映像のこと出てきています。
でも、書けて、撮れて、両方できるってすごい人ですね。
でも「いをら」って変わった名前ですね。


もう一つの受賞作、中山咲「ヘンリエッタ」(250枚)

ヘンリエッタ

ヘンリエッタ

ヘンリエッタって何?
そう思いますよね。
主人公を含む女性3人が共同生活してる家の名前なんです。
この作品丁寧に書かれている感じが伝わってきます。
作者の中山さん大垣の高校3年生です。
昔ならもっと話題になっていたでしょうね。
今高校3年生で文学賞とってもそんなに話題になりません。
文藝賞も前回の
第42回に三並夏さんが中学3年生(発表時15歳)で「平成マシンガンズ」という作品で受賞しています。
個人的には荒削りな荻世さんの作品の方が私にはピンと来ました。


今回文藝賞受賞した2作品11月20日に単行本発売になるようです。
どちらも定価1050円です。
はまぞうさん見たら既に出ていたので載せときます。
この2作品と、綿矢さんの新作も入ってお得な、
文藝冬号ですが今確認したら、
版元の河出書房新社で品切れになっていました。
バックナンバーの春・夏・秋号は購入可能でした。