走ることについて語るときに 僕の語ること

昨日の朝日・朝刊に文藝春秋の広告出てました。
初版は10月15日ですが、既に6刷のようです。
村上春樹さん、デビュー作から初版本でコレクションしている私、*1

当然この本↓も初版で入手しています。

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること


この本は小説ではありません。
でも前書きの冒頭部分から、村上春樹ワールド全開です。
この本タイトルの
「走ることについて語るときに
 僕の語ること」
とあるように、作家として自分が納得する作品を書くために続けていることの1つ、走ることについて書かれています。
ただ走るのではなくて、マラソン・100k走るウルトラマラソン、さらにトライアスロンまで挑戦されています。
その走ることは、良い作品を創作するために村上さんにとって必要不可欠なものだ。
そう納得できます。


そんな内容ですが、村上さん自身のことについて、今までになく書かれています。
私は、彼のデビュー作「風の歌を聴け」以来作品読み続けています。

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

この本の中に書かれていたのですが、
風の歌を聴け」を書いていた頃、
食事・酒・音楽、この3拍子揃ったお店をやっていたそうです。
店閉めて一杯飲んで、帰宅してAM3〜4時ぐらいいから、この作品書いていたそうです。
私は、飲んだら何もしないので、飲んだ後で(勿論量は少ないのでしょうが)「風の歌を聴け」(1979年)を書いていたなんて驚きです。
私は、群像新人文学賞受賞と帯巻きされた、この本を買わなければ春樹フリークにはなっていなかったと思います。
無名の作家を応援した気分ですね。
もし既に有名なら、応援する気持ちにはならなかったと思います。
皆が知らないから応援する。
そういう気持ちありませんか?
でも「風の歌を聴けは」3年前に同じ群像新人賞受賞から、その作品でいきなり芥川賞受賞となった、
村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー
限りなく透明に近いブルー

限りなく透明に近いブルー

に比べるのは無理がありますが、それなり話題にもなったし売れてもいました。
その後の2作目「1973年のピンボール」(1980年)も同じ状況の中で書いたそうです。
1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

村上春樹さんのこの2作は芥川賞候補だったのですが、受賞できず。
以後、村上さんの作品は、芥川賞だけでなく、直木賞候補にもなることはなく、
結局どちらも受賞していません。
今から思うと受賞できなかったことが、良かったのかもしれません。
受賞したら、とりあえず何らかの作品を書くことになりそうですからね。
で、この後村上さん、利益も出ていた、生活の基盤の店をたたんでしまいます。
もっと、納得いく小説を書くためです。
そうなのです、村上さん店をやりながら書いた2作品にまだ納得していなかったわけです。
そのためには、店との両立は不可能。
そう考えられたのですね。
私は先にも書いたように、「風の歌を聴け」でノックアウトされているので、
充分なのですが、村上さんもっと長いものを書きたかった、そして作家としてここで勝負に出たわけです。
そして3作目、「羊をめぐる冒険」(1982年)です。
羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

この本文庫では2冊になっていますが、単行本発売当時は1冊でした。
この小説書き上げた時、講談社の「群像」編集部で冷遇された。と正直に書かれています。(本文52P)
そのせいで、4作目「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(1985)初めて講談社以外の新潮社が手がけることになったのかもしれません。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

この本も単行本は1冊でした
この作品以後村上さんの長編は書き下ろしになります。
そしてこの3作目「羊をめぐる冒険」のような長いものを書いてしまったため芥川賞候補からもれてしまった。
そういう説があります。
以前かいてますね。その理由こちら↓ご覧ください。
2006-07-12 芥川賞
http://d.hatena.ne.jp/supiritasu/20060712
でもこの作品で、第4回野間文芸新人賞を受賞。しています。
でも主催者版元の講談社です。
そして圧倒的読者を獲得した、ノルウェイの森 (1987年)「講談社」へと続くわけです。
村上さん本格的に走り始めたのは「羊をめぐる冒険」(1982年)書き上げた後とのことのようです。
それ以来25年走り続けていらしゃるわけですね。
努力なんて言葉はどこにも出てきませんし、ご本人もそのつもりが全くないこと良くわかります。
でも、村上春樹さんの、ストイックさ小説に向う真摯な姿勢が行間から伝わってきます。
村上さんこれからも、ご自身も読者も納得するような作品書き続けることを宣言したような内容でした。
引用しませんがこの本の135P〜136Pお読みください。
風の歌を聴け」は何回か読んでいますが、
最初に1回読んだだけで、その後1度も読んでいない実家の本棚の「羊をめぐる冒険」読みたくなりました。
それと、体を油断させすぎなので、少し鍛えないといけないですね。
この本、村上さんが凄い毎日を過ごされていること良くわかりますが、
読者に「あなたもやりなさい」みたいな強制してる感じが全くないところも素敵です。


この本11月28日に読みました。
それから昨日まで、村上さんのように自分に厳しく!
そう思い、いつもより1時間前後早く寝て、早起き心がけたのですが、
目覚ましが1時間早く鳴っているから大丈夫。
って安心してしまって、いつもより睡眠時間長くなっただけでした。
特に昨日の朝は普段より1時間遅く起きてしまいました。
でも、やっぱり自分に厳しく。
何とか実践したいです。

*1:この写真は、2006-03-22 希少価値・http://d.hatena.ne.jp/supiritasu/20060322の使い回しです