沈黙

「沈黙」有名なのは遠藤周作さんの作品だと思います。

沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)

私この作品未読です。
でも、「はまぞう」で検索したら、探すの苦労すると思っていたのですが、
簡単に出てきました。
村上春樹さんの「沈黙」
沈黙 (集団読書テキスト (第2期B112))

沈黙 (集団読書テキスト (第2期B112))

のこと書いてみます。
この作品、1月末か2月前半の日曜の朝日・朝刊読書欄下の広告で、
昨日書いた、リチャードバックさんの「フィレットの冒険」の見つけて
「買うぞ!」
って気合入って、その後、読書欄の書評の所ではない記事の部分で何冊かの本推奨している記述があって、この本もその中に含まれていました。
村上さんの本片っ端から読んでいるのに、
発売されていることさえ知らなかったです。
これも買う気になったのですが、なかなか売っていなくて、結局取り寄せてもらいました。
この本税別184円。
安くて薄いです。
出版に目的があって、中学・高校向けの集団読書テキストなのです。
安くて薄いわけですね。
初版1993年です。
手元にあるのは2007年発行の第12刷で、年表も最新になっています。
この「沈黙」という作品、書下ろしではないかも知れない?
と思い調べてみました。
ありました。
レキシントンの幽霊」という短編集の中に収録されています。
レキシントンの幽霊 (文春文庫)

レキシントンの幽霊 (文春文庫)

この本読んでいるのですが、改めて今回「沈黙」読んでみて、
内容全く思い出しませんでした。
ホント初めて読んだ感覚です。


一部引用します。
17P後半から18P前半部分。

僕が高校時代まともにつきあった相手といえば、ジムで会う人たちだけでした。大部分は年上で、もう仕事を持っている人たちが大半だったんですが、僕は彼らととても楽しくつきあうことができました。僕らは練習が終わってから何処かでビールを飲んで、いろんな話をしました。

エッエー〜!!
良いのカイナ??
高校生がビール飲んでること書いた小説、中高生の集団読書のテキストなんかにして。
良いんです。
たぶんここの部分集団読書テキストにするということで、議論されていると思います。
この本対象は高2・3年になっています。
そのへんも多少考慮しているのでしょうね。
そんな未成年の飲酒の問題よりもっと大切なことが書かれています。
版元の全国学図書館協議会のこの本の紹介の部分引用します。

大沢は青木を殴ってしまった。最低の男ではあったが殴るべきではなかったと大沢は後悔した。数年が過ぎたが、青木はそのときの屈辱を忘れなかった。青木のわなにはめられた大沢はクラスから孤立し、追いつめられていく。

この大沢さん(男性)の人を見る目と、他人に惑わされない強さが素晴らしい。
この大沢さんの視線を書く事のできる村上春樹さんヤッパリ凄い。
村上さんの繊細さ「気付き」のある方だということが読み取れます。
孤立し、追い詰められる大沢さんの青木さんに対する「怒り」を読んでいて感じるのは殴った時だけです。
作品上でも殴った時も「怒り」という表現は使わずに、

クールになれません。

という表現を使い、後味の悪さが書かれています。
最後の方でも「怒り」という表現を使わずに「怖い」という表現を使っています。
引用はしませんが、この小説の最後から2番目の長い台詞での「怖い」対象の指摘が凄い。
(勿論青木さんが怖い訳ではないです)
是非本文にあたってみてください。
できたら、最後の方だけ読まないで、最初から読んで、
スピリタスが書いてたのココね」
って思っていただいた方が、この小説を集団読書のテキストにしている意味がわかると思います。
「沈黙」は入手チョット苦労するかも知れませんが、「レキシントンの幽霊」なら置いてある本屋多いでしょう。
買わないでも、立ち読みできる分量です。

どのような本が集団読書の対象になっているか?
気になる方こちらどうぞ↓
http://www.sla.gr.jp/shop/book_list.cgi?cat_id=14
結構最近の作品も選ばれています。