国による情報公開の推進が大事

イレッサのこと書きます。
少し古いですが、11月16日の朝日・朝刊1面トップこの記事でした。
asahi.comから近い内容の記事引用します。

http://www.asahi.com/national/update/1115/TKY201111150257.html
http://www.asahi.com/national/update/1115/TKY201111150257.html

イレッサ控訴審、企業と国の責任認めず 
 肺がん治療薬イレッサをめぐり、副作用で死に至る危険性を十分に説明していなかったとして、死亡した患者3人の遺族が販売元のアストラゼネカ大阪市)と国に計7700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、東京高裁であった。園尾隆司裁判長は、ア社と国の双方の責任を認めた一審・東京地裁判決を取り消し、遺族側の請求を全面的に退けた。
高裁判決は、副作用の危険性は説明書に書かれており、医師も危険性を認識していたことから、製造物責任法の「指示・警告上の欠陥」はなかったと判断してア社の責任を否定した。さらに、ア社の責任を認めない以上、国の責任も認められないとした。
イレッサの副作用をめぐっては、東京、大阪両地裁で遺族らが提訴。大阪地裁では2月にア社の責任だけを認める判決が出て大阪高裁で控訴審が続いており、高裁段階の判断は初めて。製薬会社、国双方の責任が認められなかったことは、国が検討している抗がん剤の副作用被害救済策の議論にも影響を与えそうだ。
イレッサは2002年7月に輸入が承認され、販売が始まった。当初の説明書では、動脈に酸素が取り込みにくくなる間質性肺炎が「重大な副作用」の4番目に書かれ、死に至る可能性は明記されなかった。しかし、発売直後から間質性肺炎による死亡例が相次ぎ、厚生労働省の行政指導を受けたア社はこの年の10月、説明書に「警告」を追加して注意を呼びかけた。
 今年3月の東京地裁判決は、警告を出すまでの国とア社の対応を違法と認め、それまでに服用した患者2人について計1760万円を支払うよう命じていた。国の責任は「臨床試験の結果から副作用で人が死ぬ可能性があると認識していたのに、ア社に十分な説明をするよう行政指導をしなかった」と判断。ア社には「指示・警告上の欠陥」があったと指摘した。これに対し、ア社と国がいずれも控訴していた。
 肺がんはがんの中で死者数が最も多く、09年には約6万8千人が死亡した。イレッサの年間使用患者数は推計で約1万6千人(09年)に上る。
 二つの訴訟では、東京、大阪両地裁が今年1月に和解を勧告し、遺族側は応じる姿勢を見せたが、国とア社が拒否して和解が成立せず、判決に至っていた。(根岸拓朗)

私は「不当判決」とまでは言わないけれど、1審の判断を尊重して欲しかったと思います。
最終的な結論は出ていませんが、この件に関しては、遺族側に勝訴して欲しいと思います。


気になるのは、新薬に関するこういった訴訟の今後です。
イレッサは、副作用もありますが、効果が大きいようです。
裁判もあってか、イレッサ今では、今まで以上の注意を持って処方され、その後の経過観察もされるようになって、死者がでること、減っている事と思います。
これはがん患者にとっては朗報になります。
新薬の出始めのトラブルは減らしたい。
そう思います。
でも、そのために薬の承認が遅れ、その薬が処方されれば、助かったり、延命効果があったりする人が亡くなっている。
この可能性も高いと思います。
だからといって危険性の高い薬が出回ってしまうことも避けたい。
夢の新薬だったはずが、その副作用で、人類が滅亡の危機。
そんな映画もありましたね。
ものすごいトラウマの世界です。


がん。
各製薬メーカーも新薬の開発していますね。
抗がん剤は副作用がつきものです。
みなさんそれを覚悟でがんと戦います。
余命宣告された患者さん、新薬求めています。
私が思っているのは、このイレッサの裁判、今後に生かせないものか?
ということなのです。
今後も新薬出るでしょうし、その裁判も増えるでしょう。
患者さんが納得できる、新薬の処方できないものか?
そう思います。
新薬の処方の許可は国*1がします。
多少危険が伴うのですが、こんなのってどうでしょう。
製薬メーカーから厚労省に出す資料、特にマイナスの部分も正直に出す、当然その部分も公開します。
イレッサも、

当初の説明書では、動脈に酸素が取り込みにくくなる間質性肺炎が「重大な副作用」の4番目に書かれ、死に至る可能性は明記されなかった。

と記事にもあるように、マイナスの情報として公開されていました。
これで、充分か充分でないかの相違が1審・2審の判断が分かれた部分になっているように思います。
処方する医師・患者に対する説明不足。
だから、国とメーカーは訴えられましたが、医師は訴えられていません。
この裁判、そういうことかと。
国は新薬の承認早くします。
だけど、医師に対する新薬の副作用の説明をしっかりする、これをメーカーに義務付けます。
医師は患者に処方する時は、副作用の説明しっかりします。
命取りになる可能性がある場合はその確率もね。
患者さんは、覚悟の上で新薬を試します。
新薬はきっと高価でしょうから、国も保険でその面倒を見ます。
でも、裁判の起訴の相手に国は含まない。
対象はメーカー・医師になってきますね。
ただ、患者側も薬の服用前に充分な説明を受ける前提があるので、裁判になる可能性も減るかと思うのです。
国が負けると、その負担がまた税金です。
だったらその予算を今苦しんでいる患者さんに対する医療保険で使った方が良いのでは?
そう思います。
私は医療関係者ではないので、今でもこのくらいの事は行われているのかもしれません。
でも、今回の裁判があった、ということは、
ご遺族の方はイレッサの副作用について充分な説明を受けていなかった。
そう判断しても良いかと思って書いています。
で、今日のタイトル。
『国による情報公開の推進が大事』
という結論になります。


この件、今の状態では、今後問題になると思うのです。
TPP
です。
医療分野での、日本の市場開放これも迫られますね。
なかなか、新薬認可しなくて、しかも認可しても問題多い。
薬害エイズの非加熱製剤とか不活化ポリオワクチンとか問題あるし、
議論が不足。
議論の前提の、情報公開も出来ていない。
国も認可後も出てきた情報を早く公開する義務を追う。
この公開が遅れたせいで、問題があった場合は、裁判で国の責任追求できます。
これが出来ていれば、非加熱製剤が長い間使われることもなかった。
そう思います。
危険にさらされるのは私たちです。
モチロン、外圧でいい薬が早く承認されて、沢山の命が救われる事だって期待できます。
ガンの新薬成功すると莫大な利益を産みますね。
訴訟社会のアメリカで承認された薬が入ってきます。
(勿論今でも入っていますが)
今の日本の制度では太刀打ちは出来ないでしょう。
かといって、アメリ*2の基準を受け入れていいのか?
イレッサ裁判は、今回は最終的に患者勝訴で、その裁判の中で、国とメーカーに対する、情報公開と説明責任を強く求める判決文を出して、国とメーカーが改善する。
結果TPPで積極的に新薬の早い承認と安全性確保の両立ができるシステムが出来上がる。
そういうことになって欲しい。
そう思います。

*1:この国ってのも変な感じで、実態は厚労省のお役人が、製薬メーカーから出された資料を基に可否の決定をしていて、人間がやっているのに、その辺の責任の本質が表に出てこないのが、薬事行政の怠慢を招きこういった事態になっているのはないか?そう思います。

*2:なんか、TPP参加国見ていると、医療分野アメリカが特に制度改革求めてきそうな気がします。他の分野もそうでしょうけどね