産業スパイ新法

昨日朝日・朝刊政策面(手元の新聞で9面)左上の見出しです。

技術情報 漏出に刑事罰
経産省検討産業スパイ新法

記事からも引用します。
 

甘利経産相は15日の記者会見で、コンパクトディスクなどを念頭に「日本の窃盗罪は(重要情報が記録された)盤にかかり、情報の中身にかからないという問題がある」と指摘。

これって確かに凄い事実です。例えば大手クレジット会社の会員名簿自分が持ち込んだCDにコピーして持ち出しても、窃盗罪にはならないってことです。
会社の備品であるCDにコピーしたらCDの窃盗罪について問われるわけです。
以前にもこんな事件ありましたね。
興味出てきましたか?
もう少し引用します。

 経産省によると、刑法の窃盗罪が適用されるのは「モノ」で、電子データは対照ではない。
 不正競争防止法もあるが、流出した情報がライバル企業に渡った事実の立証が必要で、立件が難しい。実際に同法での起訴は1件も無く、実効性が疑問視されている。
 新法では、企業が秘密にしている先端技術などを不当に得たり、漏らしたりする行為自体に刑事罰を科す方針。流出先を立証する必要は無いという。

これも「秘密にしている」の部分問題になりそうですね。
現状と同じで、管理の仕方が悪いと「秘密にしている」ことにならなくなりそうです。
「流出先を立正しなくてもよい」って拡大解釈されると、本当は不正に流失した電子データ使用していないのに「有罪」なんてことありそうですね。裁かれる側が辛いことになりそうな気がします。
 引用続けます。

 また、企業秘密の絡む刑事裁判を非公開とする特例も検討する。情報流出が発覚しても、企業が刑事裁判での秘密情報の開示を嫌って告訴を控える場合があるからだ。軍事転用が可能な技術などの特許情報を非公開とする「秘密特許制度」の導入も目指す。

企業秘密の絡む裁判確かに非公開にする必要あると思います。
ただ企業秘密ということで、非公開で知らないうちにコソコソと裁判で決まっていくのも怖い気がします。
最後に記事に出ていた現実を引用します。

 産業スパイを巡っては、愛知県警が07年3月自動車部品メーカーのデンソー中国籍技術者を、設計図など約13万件のデータが入ったパソコンを持ち出したとして横領容疑で逮捕したが、名古屋地検は起訴猶予とした。不正競争防止法も適用されなかった。

以前も書いたように、2007-07-15 営業秘密と個人情報 - なんやかんや
上の例と違って、たとえ民事裁判として訴えても、

1 原告勝訴率は非常に低い
2 損害賠償額はあまり大きくない
3 事件類型は大体決まっている

http://www.katolawpatent.com/cont/copyright/mondai/4/2.htmlより引用
とのこと。
今の段階ですと「情報漏えい起こすような企業に救いの道は少ない」ということでしょうね。