そんなもんかな。

昨日朝日・朝刊1面左上の見出しです。

住基ネット 合憲確定
最高裁判決「住民権利侵さぬ」

社会面(手元の新聞で38面)にも関連記事ありました。
見出しです。

「合憲」住基不安のまま


被告自治体「一安心」
離脱組「方針変えぬ」


原告「行政追随の判決」

記事によると、現在住基ネット離脱したままの自治体3箇所あります。

一方、東京都の国立市と杉並区、福島県矢祭町の三つの自治体はネットから離脱したままだ。

国立の市長さんの談話紹介しておきます。

「判決文を読んでいないので感想は控えたい」と切り出した国立市の関口博市長は「個人情報が流出している状況では、切断を継続すべきだ」と明言した。「システムエンジニアをしていた経験上、コンピューターシステムがいかに便利で脆弱(ぜいじゃく)かよく分かっている。住基カードの普及率の低さを見ても、危険を上回るだけの利益があるとは思えない」と話す。

昨日の朝刊社説のうち1つこの件について書かれています。
全文引用しておきます。

住基ネット―合憲判決で安心できるか 
氏名、住所、生年月日、性別。市町村の中でしか利用されていなかった住民の個人情報をコンピューターで結び、全国どこでも使えるようにする。02年から始まった住民基本台帳ネットワーク、いわゆる住基ネットと呼ばれる仕組みだ。

 この住基ネットには、個人情報が漏れたり、公務員が本来の目的以外にこっそり悪用したりする危険がある。それは憲法で保障されたプライバシー権を侵害するものだから、自分たちの個人情報を住基ネットから削除してほしい。

 このように住民らが訴えて各地で起こした訴訟で、最高裁は「住基ネットにはそのような危険はなく、合憲だ」との判決を言い渡した。一連の訴訟の下級審判決では、合憲との判断が多かったものの、違憲判決も出ていた。これで司法判断は最終的に決着したことになる。

 だが、本当に安心できるのだろうか。

 最高裁住基ネットを安全と判断した理由は、次のようなものだ。

 外部からの不正アクセスで個人情報が簡単に漏れる危険はない。公務員が情報を漏らしたり乱用したりすることは、法律で禁じられ、罰則もある。

 だが、現に自治体の情報処理を請け負った業者から、各地の住民の個人情報が大量に漏れる事故が起きた。もしも住基ネットそのものから情報が漏れれば、その影響は計り知れない。

 違憲判決を出した大阪高裁は、防衛庁がかつて約800の自治体から自衛官にふさわしい人についての情報をもらっていたことを指摘した。年齢や住所だけでなく、職業や保護者などの情報も出していた自治体もあった。

 そのうえで、高裁は「住基ネットを使って名寄せすれば、役所にある様々な個人情報を際限なく集めたり、つなげたりできる」と指摘した。

 こうした点を考えると、今回の最高裁判決が、住民の不安を取り除くだけの説得力を持っているとは思えない。

 少なくとも、政府も自治体も今回の最高裁判決でほっとしてはいけない。情報漏れや乱用のないよう、いっそう注意深く運用しなければならない。

 自分の個人情報が悪用されていないかどうかを住民が調べることは難しい。この際、住民に代わって不正を監視する外部の機関を考えるべきではないか。

 そもそも住基ネットは効果を上げているのか。

 総務省によると、住基ネットにかかった自治体の費用は約1500億円にのぼる。これに対し、行政の効率化が進んだほか、住基カードを使えば全国どこでも住民票を受け取れるようになったという。だが、いまのところ、効果のほどはピンと来ないのが実感だろう。

 最高裁の判決を受けて、住基ネットの使い道をさらに広げようという動きが出てくるかもしれない。だが、それは住民の不安の上に成り立つものであってはならない。

最高裁住基ネットを安全と判断した理由、の1つに。

公務員が情報を漏らしたり乱用したりすることは、法律で禁じられ、罰則もある。

挙げられています。
たとえ法律で禁じて、罰則があろうが、洩れるものは洩れますね。
うっかりミスで洩れることだってあるでしょう。
そして、大切なことは、
「1度洩れてしまったものは、回収が不可能」
ということですね。
なんでこういう判断になるのでしょうか、不思議?


過去に住基ネットのこと何回か書いています。
2006-12-04 住基ネット違憲判決 - なんやかんや
2006-12-08気になります。 - なんやかんや
この↓中の■竹中省吾さん
2006-12-10 久間さん - なんやかんや
2007-06-26 難しい選択 - なんやかんや
2007-11-17住基ネット違憲判決(その後) - なんやかんや
こんな感じです。
今回の最高裁の判断で、

住基ネットを「違憲」とした二審・大阪高裁判決を破棄。住民側の敗訴が確定した。

と破棄された判決出したわけです。
阪高裁で、箕面市守口市吹田市に対して違憲判決を出した裁判官が竹中省吾さんです。
しかし判決直後自殺しています。
最高裁が自殺した竹中省吾さんの二審・大阪高裁判決を破棄したということです。
なんか、竹中省吾さんの判決の方はその後も記事になっているのに、
竹中省吾さんの自殺の件、小さな記事で自殺直後にあっただけでその後の報道がありません。
報道が抑えられているの?
って思ってしまいます。
単純に自殺ということで、警察の捜査も済んでいるのでしょうね。


結局合憲という最高裁判決出ました。
住基ネット参加していない自治体の件ですが、
その自治体の長の方、素晴らしいと思うのですが、
考えようによっては、
人権派の長が、その自治体の住人で、住基ネットの便利さを享受したい方の人権を住基ネットに不参加とする事で妨害している」
こうとらえることも可能ですね。
住基ネット参加希望者にどのような対処しているのでしょうね。


住基ネット利用者が少ないので、使い道を広げる話も出ています。
実際にe-Tax住基カード*1で申告できます。
将来的には、年金の管理を住基ネットと一緒にする話も出ていました。(今のところ先送りのようです)
保険証と兼用していくことも可能なようです。
このように、あちこちにバラバラに保存されている個人情報を、
住基ネットに全部まとめて便利に使う話もあるようです。
便利になれば、漏洩した時の個人情報の量がそれに伴って増えます。
自治体の単位で管理した方が管理しやすいのはわかりますが、
なんで、その情報の持ち主である、個人の意思や権利を認めようとしないのか?
なんで??
一般の人たちには、個人の意識があるのですが、
行政の側の個人に対する意識が低いように思えます。


最高裁の判断により、合憲となった住基ネットですが、
本来住基ネットのあるべき姿は、
自治体が加入する事として、
さらに年金・保険等まとめることが出来るものはまとめられるようにしておいて、
どの部分に参加して、便利に使うのか?
どの部分は参加しないで、便利さをガマンして、安心を取るのか?
それとも住基ネットにまるっきり登録しないか?
そんな判断を、個人個人の自己責任で判断して決められるシステムにすればよいと思います。
やっぱり自分の個人情報が、自分の思うように住基ネットに反映されないとね。

*1:正式名は、「住民基本台帳カード」と言うようです。