人間失格

太宰治さんの、「人間失格」久しぶりに読みました。

人間失格 (新潮文庫)

人間失格 (新潮文庫)

初めて読んだのは中学2年か3年の時、
学校の図書館で、芥川龍之介さんと太宰さんの全集続けて読んで、
とにかく、「人間失格」衝撃受けた記憶があります。
タブン読んだの今回が4回目。
初めて読んだ時の衝撃は、私も年を重ねているので、薄れていきますね。
読んだのおそらく14歳、多感な良い時期に読んだと思います。
去年ぐらいから「人間失格」読みたくなっていました。
結局2日目に読むとき文庫で買っていて、その本を実家から持って来ていました。
読みたくなったきっかけは、深夜にTV放送されていた「人間失格」のアニメです。
去年末映画も封切っていたようなので、予告挿入しときます。

TVで見て、あまりに暗いので、私ひいてしまいました。
ストーリーも覚えていないので、こんな話だったけ?って思いもありました。
読んでみて、TVで放映された通りのストーリーでした。(当たり前ですが)
TVで、私が引いてしまった一番の要因、本を読み直してみて1つ思い当たりました。
主人公が中学時代画いた、
「お化け」といわれる自画像があります。
それが当然アニメとして表現されるわけですが、
それが私が本を読んでいて思っていたイメージとだいぶ違います。
今回読んでいて、そのアニメの画像が目に浮かびました。
私が読んで持ったイメージより、アニメの方が暗く感じました。(正直に書くとチョット恐い感じ)
今年実写版の映画も封切られますね。
どんな感じになるのか?
映像より、本の方が作品の捉え方に多様性が持たせられますね。


先日も書いたサリンジャーさん、作品映画化されて、それが気に入らなかったようです。

自らの原作(『コネティカットのひょこひょこおじさん』)に基づくハリウッド映画『愚かなり我が心』(1949年)の出来映えに失望した事から映画嫌いになった。そのため、『ライ麦畑でつかまえて』の映像化を許さなかった。

1日の朝日・朝刊文化面(手元の新聞で13面)サリンジャー氏を悼むという記事があって、
その中に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』について以下のように書かれていました。

これはより個人的な印象だが、サン=テグジュペリの『星の王子さま』や太宰治の『人間失格』などと並んで、若いころに人がしばしば陥る(そして若いうちならまあ許容されるべきである)〈自分だけは純粋なんだ〉という思いに訴える書、という要素もあったと思う。

という一言も、読むのを先延ばしにしていた私を読む気にさせました。
ただ、今よりは純粋だったでしょうが〈自分だけは純粋なんだ〉という思い上がりはなかったと思います。
この記事中に、
カッコーの巣の上で

カッコーの巣の上で

カッコーの巣の上で

『キャッチ=22』
キャッチ=22 上 (ハヤカワ文庫 NV 133)

キャッチ=22 上 (ハヤカワ文庫 NV 133)

キャッチ=22 下 (ハヤカワ文庫 NV 134)

キャッチ=22 下 (ハヤカワ文庫 NV 134)

も紹介されていました。
この作品10代後半〜20代の時から知っていて、読みたい気持ちはあるのですが、
どちらも読まずに、映画見て終わりにしています。
カッコーの巣の上で [DVD]

カッコーの巣の上で [DVD]

キャッチ22 [DVD]

キャッチ22 [DVD]

この記事中で紹介されていた、
『見えない人間』(1952)
見えない人間 (1)

見えない人間 (1)

見えない人間 (2)

見えない人間 (2)

今気になっています。


手持ちの文庫、解説を奥野健男さんが書いています。
その中に、

コンスタンの『アドルフ』が恋愛の心理と人間の悲劇的な性格の本質をとらえた作品としていつまでも読み返されるように、またドストエフスキーの小作品『地下室の手記』が読者の人生観、世界観を変えてしまう力を持っているように、太宰治の『人間失格』も、(以下略)

の記載があります。
私の実家の本棚に、どちらもあります。

アドルフ (新潮文庫)

アドルフ (新潮文庫)

地下室の手記 (新潮文庫)

地下室の手記 (新潮文庫)

なんかで、触発されて買った覚えはあったのですが、ここだったのですね。
若い頃の私も、今の私も、他からの情報の左右は受けますよ。
人間失格』は自分で出合ったけど、『アドルフ』は自分で見つけられる本ではないと今でも思います。
地下室の手記』は読んでいたかもしれません。
ドストエフスキーなんか一冊読んでみたかったのですが、
罪と罰』も『カラマーゾフの兄弟』も読むの大変そうなので。(^_^;)
はい、どちらも未だに読んでいません。


奥野さんの解説に『人間失格』雑誌『展望』(月刊誌です)に3回にわたって連載されてる時の事も書かれています。
連載2回目の号が発売された時と、太宰さんが投身自殺したらしい、と報じられたのが同時期だそうです。
年譜によると、昭和23年(1948年)6月13日だそうです。
3回目の連載の号の発刊を首を長くして待ったそうです。
本として出版されるのは7月です。
当時の人たちどのようにとらえていたのでしょう。想像してしまいます。
この本に書かれている時代背景は、戦争前の昭和です。
読んでいて戦争前の日本って私が思っているより、豊かでしっかり庶民が暮らしていた気がしてきました。
そういえば、オリンピックも、万国博も戦前に東京開催決まっていて、戦争で中止になっていましたね。