千葉法相

昨日の朝日・夕刊1面トップ。
asahi.comから全文引用します。

2人の死刑を執行 千葉法相になって初、自ら立ち会う

2010年7月28日11時29分


 千葉景子法相は28日午前に記者会見を開き、死刑囚2人の死刑を同日に執行したと発表した。死刑の執行は昨年7月に3人に対して行われて以来、1年ぶり。確定した死刑囚はこれで107人となった。政権が交代し、千葉法相が昨年9月に就任してから初めての執行となる。かつての死刑廃止議員連盟のメンバーで、今月の参院選で落選した千葉法相が執行に踏み切ったことは、論議を呼びそうだ。

 千葉法相は会見で、自ら執行に立ち会ったことを明かし、「死刑に関する根本からの議論が必要だと改めて思った」と語った。法相として執行に立ち会ったのは「おそらく初めて」という。そのうえで、法務省内に勉強会を設置し、死刑制度の存廃を含めたあり方を検討する▽国民的な議論の材料を提供するため、メディアによる東京拘置所内にある刑場の取材の機会を設ける――ことを明らかにした。

 執行されたのは、2000年6月、宇都宮市の宝石店で女性従業員6人を焼死させ、1億4千万円相当の貴金属を奪ったとして、強盗殺人などの罪が確定した篠沢一男死刑囚(59)▽03年8月、埼玉県熊谷市で飲食店従業員などの男女4人を殺傷したとして、殺人などの罪が確定した尾形英紀死刑囚(33)――の2人。ともに東京拘置所で執行された。

 篠沢死刑囚は02年に宇都宮地裁で、尾形死刑囚は07年にさいたま地裁でそれぞれ死刑判決を言い渡された。いずれも07年に死刑が確定し、執行までの期間は、篠沢死刑囚が約3年4カ月、尾形死刑囚が約3年だった。

 近年では、鳩山邦夫元法相が約1年の在任期間中に約2カ月に1度、計13人の死刑を執行した。千葉法相の前任の森英介前法相も3回にわたって9人に執行した。

 死刑執行まで1年以上の空白期間ができたケースも過去にはある。就任会見で「サインしない」と発言し、直後に撤回した杉浦正健元法相の在任期間(約11カ月)を含む06年12月までの約1年3カ月、執行されなかった。

私この記事見たときに、千葉さん断腸の思いだったのでは?そう思いました。
ご本人「死刑廃止議員連盟」のメンバーであったこともあり、死刑に対する気持ちは変わっていないと思うのです。
おそらく法務省の関係者から説得されて、法相という職務をまっとうする決断をした。
そんなふうに感じました。
非難の声を和らげようとする気持ちもあるのかもしれませんが、
死刑の執行に立ち会ったのも、死刑制度についてご自身も真正面から向き合う気持ちの表れだと思います。
ですので、私は非難する気持ちに全くなりません。
13面の関連記事一部引用します。

今年2月に内閣府が公表した死刑制度に対する世論調査では死刑容認派が85%を超えた。 
法務省内には、昨年始った裁判員制度への影響を心配する声もあった。市民が苦悩の末に決めた死刑が、法相の判断で滞っては裁判員から批判が噴出し、制度を根本から揺るがしかねない−。
法務省はそんな危機感を強め幹部が千葉法相への説得を重ねていた。

85%が容認ですか。
一般市民の感覚で、「あなたは死刑です」
そう宣告することを多くの方が容認しているのですね。
私にはかなりショックです。
「市民が苦悩の末に決めた死刑が」
だから、そんな苦悩がないように死刑制度は廃止して欲しいと私は思うのですが、少数派なんですね。
でも、裁判員が決めた死刑だから、どんどん実行しなさい。
そんなふうにはならないと思うのですが、いかがでしょう?


この日の朝日・朝刊オピニオン欄(手元の新聞で17面)
元裁判官の 熊本 典道さんの

裁判員の死刑判決 全員の合意まで熟考して

も死刑制度について考えさせる内容でした。
熊本さん、袴田事件の裁判官です。
熊本さんは心証シロだったのですが、
裁判長ともう一人の裁判官がクロ。
激論の末、多数決でクロ。
しかも、判決文を書くことになったそうです。
一部引用します。

 被告はその後も再審を請求し闘っていた。一方の私は弁護士となってからも無実の前途ある青年を死のふちに追いやった罪の意識にさいなまれ続けた。酒におぼれ、家族と別れ、自殺まで試みて、自分を追い込んでいった。
 2007年、私は死刑判決にいたる評議の秘密を公表し、被告の第2次再審請求を支援する活動に加わった。被告は70歳を過ぎて、まだ獄中で闘っている。私は苦悩しながらも世間で生きている。評議の秘密を守るより、当時の不本意な出来事を公表し、被告を助けることが社会正義にかなうと考えたのだ。

そんな体験を踏まえ、裁判員さんにアドバイスされています。
是非全文ご覧下さい。
実際、自分がそういった立場に立つ事も考えて、
死刑制度、廃止の方向にこの国もなることを私は望んでいます。
でも、「85%が容認」この数字はあまりにも重いです。


熊本さんの、苦悩、高橋伴明さんが映画にしていました。
「BOX 袴田事件 命とは」
まだ、上映中のようです。
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