この胸に深々と突き刺さる矢を抜け

昨日の続きです。
白石一文さんの著作初めて読みました。
白石一文 - Wikipedia

昨日朝日のこの本の書評引用しましたが、
作品中に様々な本からの引用あります。
下巻巻末の主要引用文献ではまぞうでリンクできるだけでこんなにありました。
マザー・テレサ愛を語る

マザー・テレサ愛を語る

政府からの自由 (中公文庫)

政府からの自由 (中公文庫)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)

怒らないこと―役立つ初期仏教法話〈1〉 (サンガ新書)

貧困襲来

貧困襲来

宇宙からの帰還 (中公文庫)

宇宙からの帰還 (中公文庫)

政権交代 この国を変える

政権交代 この国を変える

累犯障害者 (新潮文庫)

累犯障害者 (新潮文庫)

格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略

格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略

強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書)

強欲資本主義 ウォール街の自爆 (文春新書)

引用分部読んで、「宇宙からの帰還」読んでみたくなったし。
上記岡田さんの著作から本作下巻52〜53Pへの引用分部は、
「岡田さん良いこと言うじゃん」正直にそう思いました。


昨日見ていた報道ステーションで、投機によって又原油穀物の価格が上がりつつあること取り上げていました。
この本も、以前書いた三田さんの「マルクスの逆襲」も、
投機マネーに対しては批判的でした。
私も同じ考えです。
ほとんどの人がキットそうなのでしょう。
富めるものへの富の集中がより顕著になって、
貧しきものの人口が増え、増えている人数に反比例して彼らの資産は減っている。
そんな事実も、統計的資料を使って説明されています。


読みながら、気になった部分付箋はさんでいったのですが、量が多いので、
昨日引用した分部以外は一箇所に絞って今日は引用します。(下巻60P)

 この世界に「機会の平等」などあり得ないし、その機会の平等を前提とした「努力した人間が報われる社会の実現」というのもフィクションにすぎない。
 様々な資質、能力、生まれ育ち、家庭環境などを抱えて生きる人々が、互いを認め合い、互いの人格や個性、思想や生活スタイルを尊重し、そのために少しずつ痛みを我慢し合う社会や世界を構築したいなら、僕たちが優先的に実現しなくてはならないのは、機会の平等や努力が報われる社会などではなく、結果の平等であろう。
 人間一人一人が誕生してきたことを呪うことなく生き、この世での我が人生に多少の満足と惜別の情をおぼえながら死ぬためには、僕たちは相当の自己犠牲を甘受しなくてはならない。
 機会の平等を主眼とし、努力を重視する政策を幾ら積み重ねてみても、この世界の飢餓や貧困、戦争や紛争などがなくなることは永遠にない。

かなりキツイ部分ありますね。
でも、真実を語っているような気がします。
「努力したら報われる」
私、これ生きていく上で大事な考えだと思っていました。
そういう社会であって欲しいとも思っていました。
報われなかった時、
「努力が足りなかった」
そう自分で考えるわけです。
いつも報われるわけではないですからね。
否定されると、なんか冷たい感じします。
でも、この考えの間違い確かにありますね。
この本、暴かなくて良い、又は皆で気付かないふりをしていた真実を、
ある程度の根拠をもって、確信犯的に突きつけてきます。
いま、日本で仕事のない方増えています。
努力が足りなかった。
確かにそういう方もいるでしょう。
でも、どうしようもなかった方も多いのでしょうねキット。
日本にこだわらず否定のしようのない例挙げると、
飢えた世界中の貧しい子供たち、
「努力が足りなかった」
これは言いにくいですね。
わたしも、
「機会の平等」
今まで信じていましたが、グラグラです。
「結果の平等」
字面見た感じあまり良くないですが、その通りなのだと思います。
努力する事によって得られることの目標も、
金銭・地位・名誉そんなものではなくて、
自己啓発
このあたりが落としどころなのかもしれません。


小説としてのストーリ昨日・今日全く触れていませんが、
そっちも当然楽しめます。
今の時代を考える多くの示唆を含んだ小説ですね。
発行日今年の1月ですが、今のアメリカからの不況も予測していますよ。