被爆隠し

まずasahi.comで検索した一番古い記事引用(2012年7月21日5時37分)しておきます。
線量計に鉛板、東電下請けが指示 原発作業で被曝偽装 - 原発・電力:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/special/energy/TKY201207200768.html

線量計に鉛板、東電下請けが指示 

 東京電力が発注した福島第一原発の復旧工事で、下請け会社の役員が昨年12月、厚さ数ミリの鉛のカバーで放射線線量計を覆うよう作業員に指示していたことがわかった。法令で上限が決まっている作業員の被曝(ひばく)線量を少なく見せかける偽装工作とみられる。朝日新聞の取材に、複数の作業員が鉛カバーを装着して作業したことを認めた。役員は指示したことも装着したことも否定している。厚生労働省は、労働安全衛生法に違反する疑いがあるとして調査を始めた。

 朝日新聞は、福島県の中堅建設会社である下請け会社「ビルドアップ」の役員(54)が偽装工作したことを示す録音記録を入手した。昨年12月2日夜、作業員の宿舎だった福島県いわき市の旅館で、役員とのやりとりを作業員が携帯電話で録音していた。

 役員はその前日、作業チーム約10人に対し、胸ポケットに入るほどの大きさの線量計「APD」を鉛カバーで覆うよう指示した。だが3人が拒んだため、2日夜に会社側3人と話し合いがもたれた。役員は録音内容を否定するが、この場にいた複数の作業員が事実関係を認めている。

     ◇

 役員が口火を切った。

 「年間50ミリシーベルトまでいいというのは、原発(で仕事を)やっている人はみんな知っている。いっぱい線量浴びちゃうと、年間なんてもたない。3カ月、4カ月でなくなる。自分で自分の線量守んないと1年間原発で生活していけない。原発の仕事ができなかったらどっかで働くというわけにはいかねえ」

 作業員の被曝限度は「年間50ミリシーベルト」などと法令で定められている。被曝限度を超えれば、原発では当面働けない。

 役員は続けた。

事故当時から、現場の作業員の被爆量懸念されていました。


鉛カバーで覆って。


とんでもない話だと、私も思います。
でも、誰かにやってもらわなければならない。
この現場で懸念されていた被爆量、今日始めて参加した人が数時間で許容量を超えてしまうかもしれない。
そういう可能性だって、あったと思う。
だって、その場所に行ってみないと、どの程度放射線量があるのかわからないはずですから。
この件、この会社の役員さんが全部やったことになって、この会社に仕事を依頼した会社や大元の東電は何も知らないことになってしまいそうな感じ受けます。
たぶん実際もそうなのかもしれません。
だけど、関係者なら、
「本当に大丈夫なのだろうか?」
そういう疑問は持ったはず。
たぶん日本中の多くの人も思ったはず。
でも、これつついたらいけない。
特に東電関係者は、
「知らされていないけど下請けが勝手にやったこと」
この事実が重要だったのではないか?
福島第一原発の復旧工事で、何処をどのようにしてほしいか。
発注したのは東電です。
何処がどの程度危険か、ある程度判りますよね。
専門家ですから。


硬直


そんな言葉を感じます。
放射線量を守っていたのでは出来ない仕事がある。
これは事実だったと思います。
それを公に出来ないことに問題があると思うのです。
実際の効果はなかったようですが、やってますっていう効果がものすごくあった。
自衛隊ヘリによる、原子炉への直接投水(放水という量ではないでしょう)
あれどのくらい危険だったのか?
想像しかできませんが、
放射線量=予測不能
原子炉の爆発の可能性=0ではないですよね。
でも実行した。
タブン国の命令になるのだと。
東電依頼した事になっているかもしれませんが、
政府としてできる最善を尽くすために、政府がやりたくて、実は東電が依頼した事になっているのかもしれません。
私も、「すごいことするな」と思いましたが、
放水に較べれば、危険性と手間と費用がかかるわりに、大きなバケツで途中こぼしながら、しかも的に全部当たるわけもないし。
それを考えると、今回の作業は確実で、しかも必要な作業だったはず。
現場で作業に当たった方たちが、コソコソこのような事をしないでも、
公に出来るような柔軟性必要だったと思うのです。
危険な作業ですが、速く進めなければならない、でも人は集まらない。
危険が伴うので賃金は高いようですが、それでも年収1000万に届くような賃金がもらえているとは思えない。
本来の危険性がもっと表に出ていれば、賃金倍になったかもしれません。
高いけど、結局安く使われている。
賃金が目当てではなく、何とかしたいという責任感で作業をした人だっているかも知れない。
賃金目当てだって、その賃金が生活のために必要なら仕方ないですね。


この件、この役員さん問題あります。
でも、この役員さんが全部責任を負う必要があるのか?
疑問です。
私、問題に思うのは、
東電・行政・政府関係者。
建前を通してしまって、懸念された部分タブン本気でつついていない事。
知ろうとすればできたのに、それをしなかったのではないか?
それをすることによって手続きに時間がかかって作業が進まないのであれば、
それも問題。
結局、現場で違反を承知で、規則より良心と責任感に従って行動した人が罪に問われるのか?
そんなバカな事はあってはならない。
今回の震災では表には出ないけど、原発以外でもこういった場面沢山あったはず。
たとえば、瓦礫の中に「アスベスト」混じっていたと思う。
アスベストの撤去かなり厳しい規則があります。
この規則はキットというより絶対に守られていないでしょう。
人の生活している場所に放置されている事の危険性がかなり高い。
規則も大事ですが、常識的に考えても被害の拡大を防ぐためとにかく「撤去」ですよね。


朝日、この記事中に、

【特別報道部から】原発で働いた経験のある方から労働の実態について情報を求めます

という記載がされています。
やる気なのでしょう。
やってください。
応援します。
でも、やるべきは、この役員さんのような方を何人も発見する事ではないですね。
親会社は、この役員さんの会社が仕事請けなければ、別の会社に発注するだけです。
仕事が欲しければやるしかない。
現場はそうです。
東電、今はたまたま頭下げていますが、
電気が欲しければ、東電エリアであればほとんどの場合東電で買うしかない。
原発の件も含み経費が沢山掛かっても、買うしかない私たちはその経費が上乗せされた電気を買うしかないのです。
この天と地ほどの差。
やるべきことは、上記

これつついたらいけない。
特に東電関係者は、
「知らされていないけど下請けがやったこと」
この事実が重要だったのではないか?

という、硬直性*1の改善。
これは東電だけの問題ではなく、この国を覆っている事なかれ主義。
たとえば、国が規則や規制を作って、
「守らなかったあなたが悪い、私はキチンと指示していました」
こんな柔軟性に欠けた硬直性。
その規則や規制を守ることが困難だとわかっていても、それを通して責任の回避をする。


問題が大きくなる前にしっかり『つつく』
これが出来なくなっていること。
影でコソコソではなく、
非常時に、堂々と、
「危険だけど、必要なので規則を破ってでもやります」
と言えること。
こうなると、もう報酬目当てでは出来ない部分ですが、その行為が犯罪になるのではなく、キチンとした報酬も出ること。
そして、もっと、もっと、大切なのは、非常時が起きないように、つねに『つつく』こと。
犯罪になるのは、この『つつく』ことが出来ないことであるべきです。
この流れを作る事、期待しています。

*1:本当はもっといい言葉があれば良いのですが、思いつきません